建設業許可に添付する履歴事項全部証明書について
建設業許可の添付書類として、法人であれば必須になる書類のひとつに「履歴事項全部証明書」があります。
履歴事項全部証明書は、現在建設業許可をお持ちでない方が行う「新規申請」(都道府県間の移転や、知事/大臣許可の変更による新規申請=「許可換え新規」を含む)の際と、更新申請で記載事項に前回より変更がある場合の法定書類です。建設業法§6VI,§17,施行規則§4 I ⑪,II,III
しかし、「業種追加」申請や、更新申請で前回より変更がない場合、一般許可のみを既にお持ちの方が特定許可(又はその逆)を新規申請=「般・特新規」の場合でも必須書類としている都道府県が多数ありますので、注意が必要です。また、専任技術者や経営業務に関する裏付け資料としても提出が必要になる場合があります。
建設業許可に必要な「履歴事項全部証明書」について、登記簿謄本との違い、取得方法、必ず済ませておくべき注意点について、建設業特化の行政書士ナイスファイト事務所の谷口 竜太が解説いたします。
登記簿謄本と登記事項証明書 −コンピュータ管理された商業登記簿謄本−
履歴事項全部証明書とは、以前は「登記簿謄本」として管轄法務局で発行されていたもので、その内容は同じものになります。
会社の登記事項は「商業登記簿」として管轄の法務局に記録されており、平成元年から徐々にデータ化され、現在では全国すべての法務局でデータ化作業が完了しています。
データ化時点で有効であった登記事項以降の情報を、全国の法務局が共有して書面で証明するものが「登記事項証明書」です。
データ化時点で有効でない事項については紙ベースでのみ保管され、引き続き「登記簿謄本」として管轄法務局窓口で発行されます。
登記事項証明書には、「履歴事項」/「現在事項」/「閉鎖事項」証明(3種がそれぞれ、「一部証明」/「全部証明」の2つに区分)、そして「代表者事項」証明の計7種類があります。
その中で、過去3年間(証明書の請求日より3年前の日が属する年の1月1日に有効であった事項以降)の全履歴を記載しているのが「履歴事項全部証明書」と呼ばれるものです。
間違えやすいのは、「現在事項全部証明書」と呼ばれるもので、現に効力がある事項を記載したもので、仮に設立時から変更事項がない場合は、履歴事項全部証明書と同じ内容になる場合もありますが、変更履歴の有無が判断できず、添付書類として有効ではありません。
また、「履歴事項一部証明書」は一部の事項(役員の事項のみ、事業目的の事項のみ等)を記載したものになりますので認められません。
履歴事項全部証明書の取得方法
登記事項証明書は、全国どこの法務局(本局/支局/出張所)でも取得できます。窓口での申請書提出、局内の証明書発行請求機で証明書が取得でき、本人確認書類や印鑑は不要です。
なお、登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと」を利用したインターネット交付請求が便利で、料金が安くなり、郵送(郵送料負担なし)でも受け取れます。料金については窓口納付ではなく、ペイジー対応のインターネットバンキング・ATMを利用できます。
閉鎖した登記事項の証明が必要になるケースも
履歴事項全部証明書以外で、閉鎖した過去の登記事項についての証明を要する場面、例えば、都道府県によっては「専任技術者」の実務経験に関し、他社在籍期間を閉鎖事項証明書の役員欄で証明できるケースがあります。
この場合、全国の法務局によってデータ化された年月日はまちまちですので、証明したい登記事項の閉鎖時期が、管轄法務局のデータ移行時期の前か後かにより、取得方法が違ってきます。
閉鎖事項全部証明書
証明したい事項の閉鎖時期がデータ化以降であれば、「閉鎖事項全部証明書」で過去の登記事項を証明することができます。取得方法は、履歴事項全部証明書と同じです。
閉鎖登記簿謄本の取得方法
証明したい事項の閉鎖時期がデータ化より前であれば、管轄法務局でのみ保管されている紙ベースの情報について「閉鎖登記簿謄本」を、管轄法務局窓口で取得できます。ただし、閉鎖登記簿の保存期間は20年となっており、場合によっては廃棄されていることもあります。
役員の「重任登記」等の変更登記は、忘れずに済ませておかなければなりません。
建設業許可申請時には、履歴事項全部証明書の内容について、取締役の「重任登記」がされているかどうかを確認されますので、重任登記は、必ず済ませておく必要があります。
取締役の「重任登記」とは、「任期」を満了した取締役が引き続き取締役に就任する場合に、その事実を法務局に登記することです。
取締役の任期は原則2年ですが、会社の「定款」によって最長で10年まで伸長できます。(「非公開会社」=会社支配を守るために、株主が株式を他人に自由に譲渡・売買できない制限を定款に定めた会社の場合)会社法§332 II取締役の任期は登記事項証明書に明記されないため、都道府県によっては更新申請時等に、取締役の任期を10年に伸長していることを確認するために、定款及び株主総会議事録の提出も必要になります。
定款で取締役任期を定めていない場合は任期は2年となりますので、任期が満了しているのに重任してないといったことが無いように、定款変更手続きや変更登記申請手続きが必要になります。
なお、重任登記等の変更登記の申請期限は2週間以内となっており、怠った場合は罰則規定(代表者個人に100万円以下の過料=行政罰)もあり、大幅に遅れると裁判所から「過料決定通知書」が郵送される場合があります。会社法§915 I,§976 ①
また、役員の退任/辞任や、代表者の個人住所変更等についても、登記事項になりますので忘れないようにしなければなりません。
建設業許可申請に伴う会社登記申請は、司法書士さんの独占業務です。
行政書士が許認可手続きの専門家であるのと同じように、登記申請業務の専門家は法務省管轄の国家資格である「司法書士」です。
登記手続法令のみではなく、会社法等の根拠法令、さらには膨大な登記先例や通達等に対する理解があってこそ、登記官への適正で確実な登記申請が可能になり、それらの能力を備えているのは司法書士であるからです。
これは、行政書士(総務省管轄)と司法書士の、国家資格試験制度の違いからも明らかです。
行政書士が可能な業務は、登記申請の際の添付書類でもある「定款」や「議事録」の作成になりますので、登記申請自体は行政書士が行えません。
ナイスファイト事務所では、信頼の厚い司法書士様をご紹介させていただいており、司法書士によるオンライン登記申請でお客様をフルサポートしています。
例えばイレギュラーな案件があった場合、司法書士から法務局員に対して状況説明等した方が効果的な影響をもたらします。
安全かつフルスピードで、適正な会社運営のために、会社設立、変更登記申請についても、ぜひ安心してお任せください。
行政書士 ナイスファイト事務所 行政書士登録番号 第16081022号
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THE HUB日本橋兜町418号
建設に活きるブラボーな行政書士 谷口 竜太 プロフィール
『安心の会社登記、最新状態の確保ヨシ!』
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東京都中央区日本橋兜町9-5 THE HUB日本橋兜町418号 *ビル同フロアの個別会議室にて応対いたします。なお、ビル敷地内に喫煙スペースもございます。
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