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建設業許可の財産要件を満たすには、現金500万円が必要なのでしょうか。

「将来的に建設業許可の取得を考えているんだけど、個人の場合は500万円の資金を現金で貯めないとダメなの?会社にするなら資本金500万円だよね。」
建設業許可の財産要件は、現金で500万円を用意する以外にも方法があり、会社の場合は資本金ではなく「純資産」が500万円以上あるかどうかで判断されます。 法人でも個人事業主でも、判断基準は基本的に同じです。

現在は職人として実務経験を積んでおり、独立時の開業資金を貯めている方からのご質問で、建設重機や工事車輌、事務所等の不動産、他社株式や金の資産保有などが、資本として認められないか、といったご相談です。

建設業許可の財産要件

建設業許可の財産要件を満たすには、大きく分けて2つの方法があります。

  • 直前決算期で自己資本(「純資産」)が500万円以上あること

    →直前期の確定申告時に提出した、決算書の「貸借対照表」の数字で証明します。

  • 申請日時点で500万円の資金調達能力があること

    →申請時から1か月以内の、銀行の「預金残高証明書」や「融資可能証明書」等で証明します。

「自己資本」や「資金調達能力」の意味合いについて、それぞれ詳しく見ていきます。

自己資本(「純資産」)とは

建設業許可の財産要件である自己資本500万円は、資本金ではなく、貸借対照表の「純資産」で判断されます。
資本金は会社設立時に出資した金額であり、現在の会社財産とは一致しないからです。

純資産資産負債
「資産」とは、現金や売掛金、不動産等の会社資産の事をいいます。
「負債」とは、借入金や買掛金等の会社債務の事をいいます。

設立当初は「資本金」と「純資産」は一致しますが、利益がマイナスになった事業年度があると、「純資産」が減少しますので注意が必要です。

現金以外の資産

工事車両、事務所、他社株式等も、「車両運搬具」、「建物」、「有価証券」、「投資その他資産」などの科目で資産計上できます。
これらの資産の取得方法別に、「純資産」がどのように変わっていくのかを考えてみましょう。

個人所有のものを会社用にした場合

個人所有のものを事業用に現物出資することになり、「資産」額合計が増えますので、「純資産」は増加します。

資産負債 = 純資産
 ↑        ↑
増える      増える

会社の資金で購入した場合

事業用資金で新たに購入した場合は、資産のうち「現金」の科目が減って「資産」額合計は変わりません。

資産負債 = 純資産
 ↑          ↑
変わらず   変わらず

ローンやリースの場合

ローンを組んだりリース契約の場合は、未払金やリース債務等の「負債」も増えますので、「純資産」額は変わりません。

資産負債 = 純資産
 ↑      ↑       ↑
増える  増える     変わらず

個人の純資産は?

個人事業主の場合も基準は同じですが、確定申告時の貸借対照表には「純資産」の科目がありません。
個人事業主独自の科目で、次の計算式によって出た数字が純資産となります。

  「元入金」*
+「青色申告所得控除前の所得金額」
+「事業主借勘定」*
−「事業主貸勘定」*

* 元入金とは・・・・・会社の「資本金」に似たものですが、期ごとに変動します。
(元入金に利益をプラスして、個人用の家計との移動を相殺したものが、次期の期首元入金になります)
* 事業主借勘定とは・・・・・個人の資産を、事業用に提供した場合の科目です。
* 事業主貸勘定とは・・・・・事業用の資産を、個人の家計に移した場合の科目です。

さらに、負債・資本の部に、以下2つの科目を追加して設けている場合は、その額を加算します。

  「元入金」
+「青色申告所得控除前の所得金額」
+「事業主借勘定」
−「事業主貸勘定」
+ 利益留保性の「引当金」*
+「準備金」*

* 利益留保性の引当金とは・・・・・日本の会計基準の引当金として計上できる要件を満たさず、本来は利益として計上すべき引当金。
引当金計上の基準要件を満たしている通常の引当金、例えば、貸倒引当金、工事損失引当金等は含まれません。
(参考) <引当金計上の基準要件> 将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができること。
* 準備金とは・・・・・将来のなんらかの費用や損失発生のための準備金。

個人の場合は、これらの科目の合計が500万円以上かどうかで判断されます。

資金調達能力とは

銀行で発行する「預金残高証明書」で、建設業許可申請時点1か月以内に500万円の預金があれば、資金調達能力が認められます。
ひとつの口座では不足する場合は、複数金融機関から発行を受けて合計金額が500万円以上あれば証明可能です。

また、許可行政庁によって対応が異なりますが、金融機関が発行する「融資証明書」等で、500万円以上の融資を受ける能力があると証明する方法があります。

自己資本と資金調達能力の合算はできません

例えば、直近決算の純資産額が300万円で、現在200万円の預金がある場合に、合算して500万円という判断にはなりません。
自己資本(純資産)は決算期時点での財産的基礎であり、資金調達能力は申請時点での金銭的信用という、時期や性質が異なる判断基準になるからです。

開業したばかりで建設業許可を受けるケース

最初の決算日をまだ迎えていない場合、会社であれば設立時の資産、負債、純資産を記載した「開始貸借対照表」を提出します。
なお、開始貸借対照表は会社法によって作成保存が義務付けられています。会社法§435T
通常、設立時は負債が無く、資産=純資産となり、裏付けとして会社謄本の資本金額が500万円以上であれば要件クリアとなります。

一方で個人の場合は、法人のような資本金登記の制度がありません。そのため、残高証明書等で財産要件を証明しなければなりません。
例えば、開業時に多くの資金が必要だったため、手元の現金が500万円未満である場合は、決算期末の純資産が500万円以上になるように事業運営して、確定申告後に建設業許可申請をするという方法もあります。

個人事業で開始し、法人化のご予定がある場合は

以前は、個人として建設業許可を取ったあとに法人成りした場合は、法人として新たに建設業許可を取りなおす必要があり、許可の空白期間が生じるという不利益がありました。
しかし、2020年10月施行の改正建設業法により、事業承継の事前認定の制度が新設されたことにより、空白期間が生じることなく、また、行政庁への手数料・証紙代・印紙代を支払うことなく建設業許可を承継できるようになりました。(法人から個人事業主へ転換する場合も対象になります。)
ただし、許可行政庁との事前協議が必須となりますので、承継予定日の数か月前から余裕をもって弊所までご相談下さい。

建設業許可の事業承継等にかかる認可の制度
なお、この制度は法人間の事業譲渡・合併・分割の際に利用できるものになります。
しかしながら、同制度により経審の具体的評点までをも引き継ぐ旨の直接的な法令の定めはありません。(被承継会社の経審の結果自体については、承継会社が当然引き継ぐものと明記されています。なお、営業年数については承継ができません。)
被承継会社の実績を合算できるのは「合併時経審」受審後になります。存続会社の経審評点が被承継会社と大幅に異なるケースで、合併時経審を受ける前に入札参加資格の継続申請がある場合に、各入札先自治体に対して被承継会社の実績を自社のものとして主張できるしくみが制度上用意されていないことは今後の課題といえます。

法人化と建設業許可取得で、新たなスタートラインに立つには

今回のご相談の場合は、仮に申請時に手元の現金500万円がなくても、直前決算期の決算書で純資産が500万円以上あれば良いというケースになります。

なお、個人で白色申告の方や、10万円控除の青色申告の場合で、確定申告時に貸借対照表を作成していない場合は、あらためて決算書を作ることになります。
また、法人個人にかかわらず、建設業許可申請時には、税務署への法人税・所得税算出に最適化された決算書を、建設業経理や企業会計に対応した財務諸表に振分けなおしたものを提出する必要があります。

ナイスファイト事務所では、貴社にとって最適な税理士さんや会社設立登記の専門家であるオンラインに対応した司法書士さんをご紹介しており、法人化を目指す方をフルスピードで支援しています。
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建設に活きるブラボーな行政書士 谷口 竜太 プロフィール

指差し呼称『自己資本の充実、500万円ヨシ!』

ハーネット

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