競争入札参加資格審査申請とは
そもそも「競争入札参加資格審査申請」についてよくわからない方のために、入札参加資格のエキスパートである行政書士ナイスファイト事務所の谷口竜太が、順を追ってご説明させていただきます。
建設業許可を取得し、経審を受けただけでは公共工事は受注できません。
役所の工事の多くは入札で受注者が決まりますが、入札に参加するためには、入札方式に関わらず参加資格が必要になります。
参加する自治体によって審査基準は異なりますが、資格を得られると「格付け名簿」に施工能力によってA〜Eなどにランク付けされた上で順位がつき、ランクが上がるほど発注金額が大きくなります。
資格者名簿のランク付けの審査には、経審の点数と工事実績が大きく影響しますので、ランクを上げてより大きな工事を受注したい、受注できる可能性の高いランクで勝負したいなど、ざまざまな戦略があると思います。
このような名簿登録の申請手続きが、「競争入札参加資格審査申請」です。
ナイスファイト事務所は東京以外の地域も対応可能ですが、ここでは東京都内の会社様が近郊地域に入札資格をお考えのケースを例に、続けて解説いたします。
区市町村、東京都、国の省庁の入札参加申請 −それぞれの特徴−
現在のようにインターネットが普及するまでは、参加を希望する各自治体にそれぞれ書類申請するのが通常でしたが、2004年(平成16年)ごろから、複数の自治体が共同で運営する”電子自治体”が登場し、参加を希望する自治体にまとめてパソコン上から申請ができるようになりました。運営開始から長い年月が経過し、機能性の改善やシステム運営効率化により、操作性、わかりやすさという意味においてのユーザビリティも少しずつ向上しているように感じます。
東京都内の「区市町村」への入札参加申請
東京都内の区市町村への入札参加申請については、「東京電子自治体共同運営」が資格審査及び格付けを取りまとめています。
毎月25日までに新規申請が承認されれば、申請翌月1日に格付け名簿に登載され、有効期限は決算期間の期首を起点として1年8か月です。
新規申請後は、毎年の経審申請後に「継続申請」をすることになり、最新の経審データに基づき、格付けが1年ごとに見直されます。
共同格付と独自格付
東京電子自治体では、全ての自治体に共通する基準で格付け(共同格付)が行われますが、一部の自治体では共同格付に加えて独自の格付け(独自格付)を行っています。なお、自治体が案件を入札にかけるときも電子自治体を通じて行います。
一方で、他の地域の電子申請では、電子自治体が行うのは資格審査のみで、格付けについては各自治体に任せている場合もあり、各地域によって運営が異なりますので注意が必要です。
「東京都」への入札参加申請
「東京都」各局(財務局、交通局、水道局など)や警視庁、消防庁に申請するには「東京都電子調達システム」から申請する必要があります。(「東京都」への情報公開請求などのように、都民として申請できる手続きが、「東京電子自治体共同運営」から申請できることと混同しないようご注意ください。)
東京都電子調達システムへの申請については、役所における会計年度(4月〜翌3月)を基準に、2年に1度の「定期申請」という概念があります。例年11月下旬〜翌1月下旬の約2か月間の申請期間があり、年度初めの4月1日に格付け名簿に登載されて2年度間有効になります。
申請期間を過ぎてしまった場合でも4月まで待てば「随時申請」で受け付けてもらえますが、年度初頭に名簿未登載の期間が生じます。なお、手続は2年に1度で済みますが、2年間格付けは見直されません。
東京都住宅供給公社(JKK東京)
東京都が全額出資する東京都住宅供給公社については定期申請の概念はなく、随時申請を郵送で受け付けています。
なお、東京都住宅供給公社は東京都の「政策連携団体」であり、「東京都」への入札参加申請時には、JKK東京からの受注実績を「東京都」からの受注として申請することができます。また、JKK東京発注の工事は、建設業法上「公共工事」になります。
東京都の政策連携団体
公益財団法人東京都公園協会、公益財団法人東京都道路整備保全公社 等々の東京都の政策連携団体は独自に入札を行っていますが、制度上又は事実上、東京都の入札参加資格が有ることを条件にしているケースがあります。
なお、上述のように東京都の政策連携団体からの受注工事については、東京都の入札参加申請時には「東京都」発注の工事として申請が可能です。しかし、建設業法上の「公共工事」として扱われる発注団体については、建設業法施行規則及び法人税法に限定列挙されており、政策連携団体すべての発注工事が公共工事になるわけではありません。
国の省庁等への入札参加申請
国の省庁や高速道路会社(NEXCO)、都市再生機構(UR)などの独立行政法人のいくつかは、国交省が運営する「インターネット一元受付」から申請することができます。
申請時期は2年に1度の「定期申請」になりますが、「随時申請」については注意が必要です。
定期申請に遅れてしまって随時申請する場合は、インターネットによる電子申請ではなく、持参や郵送での申請になってしまいます。さらに、まとめての申請もできなくなりますので、参加希望する機関にそれぞれ申請しなければなりません。
電子証明書の取得やパソコン設定
電子申請を行う前提として、「電子証明書」の発行が必要になるのが通常で、「東京電子自治体共同運営」と「東京都」の電子証明書は共用できます。省庁の一元受付に関しては、電子証明書は不要ですがIDパスワードの発行を事前に受ける必要があります。
電子証明書を申請プログラムに登録したり、電子入札システムを利用するには、パソコンの設定を事前準備しておく必要もあります。
地域によっては、参加資格申請段階では電子証明書が不要の場合もありますが、実際に電子入札を行う段階では電子証明書が必要です。
電子入札コアシステムの刷新
建設業界における情報システム開発については、国交省が策定した「CALS/EC(公共事業支援総合情報システム)アクションプログラム」の趣旨に則り、日本建設情報総合センター(JACIC)が一手に担っており、電子入札システムの基盤となるパッケージソフトウェア「電子入札コアシステム」を自治体に提供しています。
各自治体はこのシステムをSaaSやASPで利用(インターネットを利用して離れたサーバのソフトウェアを利用する形態、クラウドコンピューティング)したり、独自構築でシステムをカスタマイズして作り込んだ上で利用しており、全国850以上の自治体や公共の団体が導入しています。(全国の区市町村数は1,747 2020.5.3総務省統計局)
「電子入札コアシステム」で使用している米Oracle社のJRE8(コンピュータを動かすためのプログラミング言語の一つJavaの実行環境)の公式サポート有償化に伴い、2020年9月30日でJACICと米Oracle社との契約が終了する事が決まり、Javaに変わる新しい方式のコアシステムの実行環境としてMicrosoft社の.Net Frameworkを採用することになりました。
これによって電子証明書を利用するためのアプリケーションの更新が必要になりますが、新方式での入札者にとってユーザ側のメリットはあまり無いように思えます。(新方式採用により、パソコンの管理者ユーザ名が全角でも利用できる環境になりました。)大量にあふれる情報から、最新かつ正しい情報を収集整理するには
電子入札とは言うものの、自治体によってはアクセスできるのがお役所が開いている時間と同じく平日の9:00〜18:00のみという自治体もあります。また、添付書類については、電子納税証明書のように電子ファイル形式で送信できる仕様のシステムもありますが、郵送か持参のみの書面受付を行っているのが現状では通常です。
ここまでいろいろとご説明してきましたが、各自治体によって手続きの重要な部分が統一されておらず、ミス無く期限内に申請するには、最新で信用に値する情報を得ることが前提となります。
また、電子入札についての発注者やシステム運営からの重要な連絡事項はメールでのみ通知されます。特に具体的な案件についての連絡はたとえ入札を見送る場合でも、必ず適切な応対をしなければなりません。
お役所への問い合わせに対応する職員の回答が常に正しいとは限りません。入札契約課の方は電子入札システムの操作や仕様について理解していなかったり、システム運営元のコールセンターの方やエンジニアの方は外部委託のため、入札制度の本質的な部分は自身の業務外と認識していたり...誤解や思い込みで意図しない申請内容を送信してしまう事は大きな問題発生につながります。
情報過多のこの時代で、正確な最新情報について内容を理解した上で活用するためには、明確な根拠が確認できる情報のみを信頼することが必要で、そのためには法令解釈の基礎知識や行政関連法の一般原則を理解しておくこと、さらには情報通信テクノロジーについての知見を広げることです。
最後に、入札には厳格な公平性が求められ、懇意の業者に優先して発注されることは絶対にありませんが、入札契約・調達担当者と面識を持っておくことも、対面の営業活動として大切なことだと思います。
入札資格申請のエキスパートであるナイスファイト事務所では、電子証明書取得からパソコンの事前設定までフルサポートのサービスを提供しています。お早めにご連絡下さい!
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建設に活きるブラボーな行政書士 谷口 竜太 プロフィール
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